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歴史木的なボラティリティの異常なスパイク

月曜の米株暴落はどうやら円のキャリートレードの強制撤収が引き金だったらしい。米投資家の間ではその話で持ちきり。キャリートレードとは要するに外貨でレベレッジをかけて投資すること。よって強制撤収の時は追証で容赦無く全てが売られる。もし真実なら今回の暴落は長くは続かない。

 

この急激な下げはどうやら弱い経済のせいじゃない

 

先週の米株はセクターローテーションから始まり、水曜日のFOMCで9月からの利下げが確定したかと思いきや、木曜、金曜とマクロデータが悪かったため、Bad news is bαd news(悪いニュースは悪いニュース)への相場意識の移行もあり、株価が下げた。

米国10年債券の利回りも久々に4%を切ったと思ったら、今日、月曜のマーケットが開く前になんと一気に3.7%以下まで下げてしまった。

そんなにパニクるほど経済悪くないと思うんだけどなぁ、と頭をかしげていたら、週末、投資家仲間の間で一気に出回ったのが円キャリートレードの話だった。

 

円のキャリートレードとは?

 

キャリートレードとは要するに安い利率でお金を借りて、もっと儲かるところに投資すること。

円のキャリートレードはヘッジファンドやペンションファンドもやってるし、銀行もやってるし、なんと一番大きいキャリートレードをしているのは日本政府。

メカニズムを簡単に説明すると、例えば、ヘッジファンドが米株を担保に米ドルでお金を借りると6%の利子を払わなければならないところが、それを日本円でお金を借りると1.5%の利子ですんでしまう。

その借りた円をまたドルに変えて米株に投資してまたそれを担保に円を借りて、、、とレベレッジを何回もかけることができる。

利子率の差がこんなにあれば、たとえ投資した米株が伸びなくても利子率の差から取れる利鞘だけでかなりの利益になる。

これが円のキャリートレード。

 

円キャリートレードのリスク

 

円のキャリートレードのリスクはもちろん為替リスク。せっかく1年で4.5%の利鞘があっても、円で借りてドルに投資しているので、その間に円が対ドルで5%値上がりしたら利鞘はマイナスになってしまう。

ところが、最近では円はずっと対ドルで円安に移行してきた。つまり、利率の利鞘だけでなく、為替の利鞘も取れていたのだ。

例えば、1000ドル分の円を借りたけど、その後円安になり、返す時は800ドル分の円を返せばよかったりした。

日本はここ数年の世界のトレンドに反してインフレも高くならなかったし、利上げも今まではほとんどしてこなかったので、円高になる心配があまりなかった。

よって円のキャリートレードはますます人気になった。

 

円キャリートレードのサイズ

 

これがはっきりとは分からないのだけれど、$5trillion とも $10trillionとも言われている。

今日、出回ったドイツ銀行のリサーチレポートでは日本政府のバランスシート上のキャリートレードの総額が$20trillionで日本のGDPの約5倍だ、と言って物議を醸した。

 

なぜ今キャリートレードが撤収されているのか

 

今まで米ドルは金利が高止まり。日本円の利率はほぼゼロ。だからキャリートレードのリスクは低かった。

でもここへきて、米金利が下がり始めた。FOMCは9月から利下げを始めるし、経済も停滞気味なので長期金利も下がり始めた。

そしてさらに日銀は金利を上げ始めたのだ。

つまり今までの逆。

ドルの金利が下がり、円の金利が上がればキャリートレードの利鞘が少なくなるだけでなく、円高になるリスクも上がる。

よって円キャリートレードの魅力が下がる。

だから、今、円キャリートレードがどんどん撤収されているのだ。

 

円キャリートレードが撤収されるとどうなる?

 

円キャリートレードを撤収するには円の借金を返さなくてはならない。

そのために投資していた米株を売る。売った資金で円を買い、借金を返す。

つまり株を売り、円を買う。だから株が下がり、円が上がるのだ。

株価が下がり、円が上がれば、キャリートレードは要するにレベレッジだから、あちこちからマージンコール(追証)がかかる。するとさらに借金して返すか、ポジションが強制的に売られることになる。

追証の強制売りは値段に関係なく市場に吐き出さされるので株価がどんどん過激に落ちるのだ。

月曜の開場前の株価の動きはどうやらそれらしい。

 

ボラティリティの異常なスパイク

 

月曜朝、米株市場が開場する前の午前7:30、なんとVIXが65を超えた。

VIXがこんなレベルを記録したのは過去30年ではリーマンショックとコロナショックしかない。

 

過去5日間のVIXの動き↓


 

 

過去35年のVIXの動き↓



今朝の動きはそれほど激しかったということ。

相場がまだ空いていない時間で流動性が希薄になっていた時に追証強制売りが出たからこんなことになったんだと思う。

この時間、NVDAは12%下がっていた。でも結局最終的には6.4%の下げで終わった。VIXも65から38.57まで戻した。

 

今後の米株相場の見立て

 

私はそんなに経済悪くないのになんでこんなにパニクっているのか、と思っていたので、この円キャリートレードの急激な撤収による追証の投げ売り説がしっくり来た。

だとすれば、月曜の朝7:30のレベルが当面のかなり強いサポートになると思う。S&P500 のレベルでは5125あたり。

結局最終的に株価を決めるのは経済だ。経済が今の約2%成長から1%成長くらいまで減速するくらいなら、米株相場は概ね大丈夫だと思う。

2024年や2025年に米経済がマイナス成長するほど急激に冷え込むシナリオは今のところ、私には想像できない。

よって、私は今日またNVDAとMETAを買い足した。しかも今日は何も売っていない。

当たるも八卦、外れるも八卦、どっちに転ぶかは全く分からないけど、長期で持ち続ける予定の株は、今日の方が2週間前よりリスクが少ないのは確か。

バフェットさんも2Qに大量に株を売って現金率を増やしてるので慎重になるべきだとは思うけど、自分の意見と分析に自信を持って忠実にベットしておかないと後で後悔するので私は素直に自分の意見に従う。

 

間違ってたらまた素直に間違いを認めて仕切り直す。それが投資の楽しさ。

私にとっての投資は上げても下げても楽しいもの。知的探究と自分の感情との戦い。楽しめなかったら投資じゃない。

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