中国H20輸出禁止の影響・初の売り上げミスになるのか?
$5.5billionの特別損益はどういうことかというと、今までNVDAは中国用に特別に作ったH20というGPUを輸出していたのだが、トランプ政権は4月9日にH20を中国に輸出するには特別なライセンスが必要、と通達した。
これにより、H20の在庫や部品、その他H20関連でバランスシートに計上されていた資産価値をゼロにライトオフ(損金処理)する必要が出てきたのだ。それが$5.5billionの特別損益。
これは売り上げがそのまま$5.5billion減るという意味ではなく、資産価値がその分減った、ということ。NVDAの総資産は$112billionあるので、約5%の資産価値が消滅した計算になる。これはおそらくOther Income (Losses)のラインに計上される。
問題はこの$5.5billionsではなく、中国に何も輸出できないことが、どれだけ売り上げに影響を与えるか、である。
コンセンサス予想を見ると、この影響は今期ではなく来期に出てくるとアナリストは見ていると思う。だから来期の売り上げ予想が下がっているのだ。
中国への輸出がもしゼロになった場合
NVDAは4半期の決算では地域ごとの売り上げを公開していないが、10Kに年間の数字が載っている。これは10Kのデータを私がアレンジしたもの。
これによると、23年に(決算年度が1月なので実質的には2022年、AIブームが始まる前)21%もあった中国への輸出は25年には13%まで落ちている。
台湾も26%から16%まで落ちている(ただし、台湾への輸出は制限されていない)。
それに反して、アメリカのシェアは31%から47%まで上がり、シンガポールも8%から18%まで上がった。そしてその間、売り上げは約5倍になった。
つまり、NVDAの中国への依存度はここ数年でかなり下がっている。シンガポール向けの製品の一部が中国に流れているとしても今の時点ではシンガポール行きの輸出は制限されていない。
単純計算で中国への輸出は年$17billionとして1Qで約$4.3billionになる。これが全てなくなったとして、それを他の地域への販売成長で補えるか?
私はできると思う。なぜならイーロンもザッカーバーグもGOOGもMSFTもCRWVもGPUを取り合いしているから。
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